同じ「Gemini」でも、扱いが違う
社内で「Geminiを使っています」と言われたとき、それが何を指すのかを確認しないと判断を誤ります。
個人のGoogleアカウントで使うGemini、Google Workspaceの法人アカウントで使うGemini、Google CloudのVertex AI経由。名前は同じでも、データの扱いと会社の管理権限がまったく違います。
個人向けの「人が確認することがある」
Googleは、個人向けのGeminiについて、サービスの改善と品質の確保のために、一部の会話が人によって確認されることがあると説明しています。確認された会話は、アクティビティの削除をしても一定期間保持されると案内されています。
だから、機密情報を入力しないよう注意が示されています。
これは隠されている話ではなく、ヘルプに書かれていることです。ただ、使い始めるときに読む人は少ない。
Gemini アプリのアクティビティをオフにすると履歴には残りませんが、安全性の確認などのために一定期間は保持されると案内されています。ChatGPTの一時チャットと同じ構造です。
Workspace版は、権限を引き継ぐ
法人向けのGeminiは、Google Workspaceのファイル権限をそのまま使います。Driveで見られないファイルは、Geminiでも参照されません。
これは安全側に働く設計です。ただし、既存の権限設定が雑だと、その雑さがそのまま出ます。
「リンクを知っている全員」で共有されたまま放置されたファイル。全社共有に置かれた人事資料。今までは誰も開かなかったから問題にならなかったものが、聞かれれば見つかります。
導入前の棚卸しは必須です。この話はMicrosoft 365 Copilotとまったく同じなので、こちらの記事の手順がそのまま使えます。
確認すべきこと
導入時、あるいは社内の実態を調べるときに見る点です。
| 確認する点 | なぜ |
|---|---|
| 社員が使っているのはどのアカウントか | 個人か法人かで扱いが根本的に違う |
| Workspaceのエディションと契約内容 | エディションによって使える機能と条項が違う |
| Drive・共有ドライブの権限設定 | Geminiが参照できる範囲を決める |
| 管理コンソールでの利用制御 | 組織単位でオン・オフができるか |
| 監査ログの有効化 | 誰がいつ使ったかを追えるか |
1番目が実務上いちばん重要です。会社がWorkspaceを契約していても、社員が個人のGmailで使っていれば意味がありません。ブラウザで別のアカウントに切り替えるだけなので、簡単に起こります。
同じブラウザに個人と会社の2つのGoogleアカウントがログインしている状態。これが一番危ない。業務のつもりで開いた画面が個人アカウントだった、は普通に起きます。会社用のプロファイルを分ける運用を勧めます。
NotebookLMも同じ構造
GoogleのツールでいうとNotebookLMも同様で、個人アカウントと法人アカウントで管理の所在が変わります。
こちらは資料をアップロードする前提のツールなので、より影響が大きい。別の記事に書きました。
社内で聞くときの文面
実態調査でアンケートを取るなら、こう聞いてください。
生成AIの利用状況について(社内アンケート)
※ 回答内容で不利益な扱いをすることはありません。実態を把握して、使いやすい環境を整えるための調査です。
1. 業務で生成AIを使っていますか(はい/いいえ)
2. 使っているサービスをすべて選んでください
□ChatGPT □Gemini □Claude □Copilot □議事録ツール □翻訳ツール □その他( )
3. 2で選んだものについて、ログインしているのは会社のアカウントですか、個人のアカウントですか
4. 主にどんな用途に使っていますか
5. 業務で使いたいが、使えなくて困っていることはありますか
3番が肝です。サービス名だけ聞いても、管理できているかは分かりません。
5番を入れておくと、禁止するだけでは解決しない課題が見えます。会社が把握していないAIの見つけ方にも書きましたが、必要が消えない限り使われ続けます。
法人契約が、結局いちばん安い
個人アカウントでの業務利用を止める唯一の方法は、会社のアカウントで同じことができる状態を作ることです。
禁止だけしても、業務の必要は消えません。見えない場所に移動するだけです。
Workspaceを契約しているなら、Geminiが使えるエディションかを確認してください。使えるのに周知されていない、というケースも実際にあります。
すでに払っているのに使われていない。これが一番もったいない。