カスタム指示は「毎回自動で送信される前置き」
ChatGPTのカスタム指示(Custom Instructions)は、設定しておくとすべての会話の先頭に自動で付けられる文章です。「あなたは製造業の品質管理担当です」「回答は箇条書きで」といった前提を、毎回書かずに済みます。
便利なので、だんだん中身が具体的になっていきます。そこが落とし穴です。
何を書いていて、何を書いてはいけないか
線引きははっきりしています。「どう答えてほしいか」は書いてよく、「自社の中身」は書かない。
| 書いてよい | 書かない |
|---|---|
| 回答は結論から、箇条書きで | 当社は〇〇工業株式会社です |
| 専門用語には短い説明を付けて | 主要取引先は△△自動車と□□重工 |
| 製造業の実務者向けの前提で | 主力製品は〇〇で、原価率は38% |
| 日本語で、敬体で | 社長は〇〇、経理担当は△△さん |
| 根拠が不確かなときは明示して | 現在〇〇社とM&Aを検討中 |
左の列はどれも、漏れても困りません。右の列は、1行目でも十分まずい。社名が入ると、以降のすべての会話が「その会社の会話」として記録されます。
「長崎県の造船関連部品メーカー、従業員15名」。社名を書いていなくても、この3つが揃えば候補はかなり絞れます。属性を足すときは、何社に絞り込めるかを考えてください。
メモリ機能との合わせ技が危ない
ChatGPTには、会話の中から「この人はこういう人だ」という情報を自動で覚えていく機能があります。カスタム指示とは別の仕組みです。
この2つが重なると、自分が設定していない情報まで蓄積されます。過去の会話で一度だけ書いた取引先名が記憶され、以降ずっと参照される。設定画面を開かない限り、何が覚えられているか分かりません。
対策はシンプルで、定期的に記憶の中身を見ることです。設定からメモリの一覧を開くと、覚えられている内容が項目ごとに並びます。不要なものは個別に消せます。
四半期に一度でいい。見たら驚くはずです。
法人プランで管理者が設定する場合
BusinessやEnterpriseでは、管理者が組織全体のカスタム指示を設定できる場合があります。全社で統一した前提を入れられるので、一見よさそうに見えます。
ただ、組織全体に適用されるということは、その内容がすべての社員のすべての会話に乗るということです。パート社員の雑談めいた質問にも、役員の経営相談にも、同じ文章が付きます。
管理者が設定するなら、なおさら中身は薄くしてください。「当社は製造業です。回答は簡潔に」くらいで十分です。
社内ルールに1行足すだけで済む
難しい話ではないので、ルールとしては1行で足ります。
カスタム指示・メモリ機能について
カスタム指示には、回答の形式に関する指示だけを書いてください。
社名、取引先名、製品名、人名、数字は書かないでください。
メモリ機能に覚えられている内容を、四半期に一度は確認してください。
ガイドラインのひな形に足して使えます。
一度設定すると、見直さない
これがいちばんの問題だと思っています。
カスタム指示は「一度書いたら終わり」の設定です。書いた当日は慎重でも、半年後に「もっと的確に答えてほしいな」と思って具体的な情報を足す。そのときには最初の慎重さが残っていません。
追記するときこそ、いま書こうとしている行が全会話に乗ることを思い出してください。そこだけです。