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社内ルール

AIツールの利用申請フローは、どこまで作るべきか

公開 2026-10-27

申請書を書いて、部長の承認をもらって、情シスの審査を待って2週間。この運用にすると、誰も申請しません。申請せずに使います。

申請フローは、厳しくするほど守られなくなる

新しいAIツールを使いたいとき、誰にどう申請するか。制度として整えたくなる領域です。

ただ、ここは作り込むほど失敗します。

申請書を書いて、部長の承認をもらって、情シスの審査を待って、2週間後に可否が出る。この運用にすると、誰も申請しません。申請せずに使います。そして会社から見えなくなる。

重い申請フロー 申請書を書く → 部長承認 → 情シス審査 → 2週間後に可否 結果:申請されない。黙って使う 会社が把握できるツール:ほぼゼロ 「禁止されていないから使った」が通る状態になる 軽い申請フロー チャットで「〇〇使っていい?」→ 原則その日に返事 結果:聞いてくれる。使う前に条件を付けられる 会社が把握できるツール:ほぼ全部 ダメなものだけ止めれば済む 目的は「止めること」ではなく「知ること」 知らないものは、止められない
申請制度の目的は、承認の可否を決めることではなく、何が使われようとしているかを知ること。重くすると目的そのものが達成できなくなる。

3段階に分ける

全部を同じ手続きにすると、重いほうに合わせるしかなくなります。リスクで分けてください。

区分対象手続き
① 届出不要 会社が契約済みのサービス。公開情報だけを扱う用途 なし。自由に使う
② 事前連絡 無料サービス、ブラウザ拡張、個人利用の範囲 チャットで一言。原則その日に返事
③ 審査 顧客データを扱う、業務システムと連携する、有料契約する 書面で申請。情シスと責任者が確認

①を広く取るのがコツです。すでに契約しているサービスを使うたびに申請させる運用は、意味がないうえに嫌われます。

③は本当に必要なものだけ。月に1〜2件あるかどうかの頻度に収まるはずです。

②の返事を速くする

この制度が回るかどうかは、ここで決まります。

「使っていいですか」に対して、その日のうちに返す。即答できないなら「調べるので3日ください」と返す。放置しない。

1週間返事がないと、次から聞かれなくなります。制度は死にます。

✓ 返事のテンプレートを持っておく

「無料版は不可。有料版なら〇〇の条件で可」「会社契約の△△で同じことができるので、そちらを使ってください」「調べるので3営業日ください」。この3つがあれば、大半はその場で返せます。

判断の基準をあらかじめ決めておく

聞かれてから考えると遅くなります。先に基準を書いておけば、担当者が迷いません。

  1. 入力したデータが学習に使われない契約か(規約で確認できるか)
  2. 扱うデータに顧客情報・個人情報が含まれるか
  3. 会社のアカウントで利用できるか(個人アカウント必須なら不可)
  4. 退職時にアカウントと保存データを回収できるか
  5. すでに契約しているサービスで代替できないか

5番から考えるのが実は効率的です。代替できるなら、審査そのものが不要になります。

4番の論点は退職者のアカウントの記事に詳しく書きました。

申請フォームは5項目で足りる

③の審査でも、項目を増やさないでください。書くのが大変だと、申請されません。

AIツール利用申請

申請者:       申請日:
1. 使いたいサービス名とURL
2. 何に使いたいか(1〜2行)
3. 入力する情報に、顧客・個人・取引先の情報が含まれるか(はい/いいえ)
4. 料金(無料/有料・月額〇〇円)
5. すでに社内にある〇〇では代替できない理由

――以下、情シス記入――
確認:学習利用の有無/データ保存先/法人契約の可否/退職時の回収
結果:可/条件付き可(条件:   )/不可(理由:   )
回答日:

5項目なら3分で書けます。10項目になると書かれません。

不可にするときは、代替を出す

「ダメです」だけで返すと、黙って使われます。これは何度でも言う価値があると思っています。

業務上の必要があるから申請しているので、必要が消えない限り、何らかの方法で解決しようとします。会社が解決しないなら、個人で解決します。

「それは使えません。同じことが〇〇でできます」まで返す。代替がないなら「現状は代替がないので、半年後に再検討します」と期限を切る。

この話は会社が把握していないAIの見つけ方にも書きました。禁止は実態を隠すだけで、なくしません。

台帳を1枚持つ

申請を受けたら、結果を記録します。スプレッドシート1枚で足ります。

列は、サービス名、申請者、申請日、用途、判断、条件、回答日。7列です。

これがあると3つ得をします。同じ質問に2回答えなくて済む。何が使われているかの一覧になる。取引先から聞かれたときに出せる。

3番目が地味に効きます。「社内で利用を認めているAIサービスの一覧はありますか」と聞かれる場面が増えています。教育実施の示し方と同じで、記録があるかどうかで答えられるかが決まります。

半年に一度、見直す

一度不可にしたサービスが、法人プランを出して条件を満たすようになることがあります。逆に、許可したサービスが規約を変えることもあります。

台帳を見返して、判断が今も妥当かを確認する。半年に一度、30分で済みます。

制度として重く作るより、軽い制度を回し続けるほうが結果的に機能します。ここは本当にそうだと思っています。

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軽い制度を回し続けるほうが機能する

重く作るより、半年に一度見直せる軽さにする。そのほうが結局うまくいきます。

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